このページでは、
ローリングスの内野手用グラブ「N54FS」型を実際に使ってみて感じたことや特徴を記しています。
記事の前半では主に仕様や特徴について口うるさく語っています。
「使った感じどんなのか知りたいんだよ」という方は「理想と感想」という見出しまで飛んでいただければ、手っ取り早く結論に近いところまでは辿り着けるかと思います。
N54FSはフィンガーシフト(小指二本入れ)対応モデルとして設計されているため、小指二本入れで使いたい選手に向いた構造になっています。
型付けの仕方にもよるのかもしれませんが、五本指で入れてみると違和感を覚えるくらいのグラブです。
こんな人に読んでほしい
✅グラブ選びに迷っている人(主に内野手)
✅小指二本入れに対応したグラブが気になっている人
✅ローリングスの「フィンガーシフト」の特徴を知りたい人
✅N54FSを使った感想が知りたい人
サントニー自身、長らくグラブ選びに迷っていました。
深い位置で、弾かずに捕球したいという思いから小指二本入れに挑戦し、それなりに良い感覚を掴めていたものの、完全にハマったと言えるグラブに出会えてはいませんでした。
まだプレー回数は少ないですが、今回のN54FSはウィザードの記事で「こうやって使いたい」と書いた内容に近い感覚で、もしかしたら自分の手にハマるかもしれないと思えるグラブだと感じています。

※N54FSを体験した今となっては、
ウィザードはやはり、あくまでも手のひら付近の浅い位置で挟む捕り方を想定したグラブなのかもしれないと感じます。
フィンガーシフトとは
✅小指二本入れに対応した設計のグラブになっています。
普通のグラブを小指二本入れで使うよりも違和感が少ないように感じます。
公式では以下のようなフレーズで紹介されています。
掴む動作の自然体に近い握りのため、力感無く柔らかいグラブ捌きが可能
引用:ローリングス公式サイトより
個人的には、五本指で使うよりも深さを活かして捕球できるんじゃないかと感じています。
特に逆シングルの場合に、中指の付け根あたりに当てて捕球できないことが多かったのですが、そういうプレーがしやすいように感じます。
フィンガーシフトスタイルのグラブは、N54FSの他に934FSというモデルとNP6FSというモデルが存在しています。
N54FSの基本情報

| メーカー | ローリングス |
|---|---|
| ポジション | 内野手 |
| サイズ | 11.50インチ |
| 備考 | あご紐:順とじ ウェブ:SSP(クロス系) フィンガーシフトスタイル サムスリーブ構造 ミドルガセット構造 |
大きさ
N54FSはローリングス製の内野手用グラブです。
11.50インチというサイズは、ZETTのサイズ2や11.25サイズのN62を使った経験からすると安心感のあるサイズで、内野手用でいうと少し大きめな部類に入るのではないかと個人的には思います。
ただ、もっと大きいモデルも存在するため、展開されている中では中間的なサイズとなっています。

土手はオーソドックスな広さだと思います。
あご紐は順閉じで、手口のところが4回、そこからヒンジに向かって2回巻かれています。
サントニーにとっては、
手口が5回巻かれているCK4は土出が広すぎると感じていて、86や87は狭すぎるのではないかと思っていたので、ちょうどいい幅の小指二本入れグラブが出たと感じています。
※ホームページを見ていると、934FSはこれよりひと巻き少なくて狭いようです。
小指二本入れで、この土手の狭さだとウィルソンの86に近い型なのかなと想像されます。
NP6FSはワイドヒンジで少し広めでありながら、閉じることも出来るような設計のようです。
ウェブ
ウェブは「SSP」というクロス系のウェブが採用されています。
ローリングスのカタログを見ていると、クロス系のグラブは縦に使うことができそうな印象のものが多いです。

※例外もありますが、Hウェブ系のグラブは「ウェブ側にポケットを設計」と書かれているものが多く、若干斜めなのかなという印象です。
このSSPというウェブ、縦のパーツが左右に独立しているうえに、緩くレースで編まれた構造となっています。そのためかなり柔軟性が高く、先端付近で捕球したときに「ネットに引っかかった」ような衝撃吸収性を感じます。
手に来る衝撃が少なくて、捕れたのかどうかわからないような場合もありました。
ムートン

手口のムートンは従来のグラブに比べてボリュームがあると言いますか、毛足が長めな印象です。
ウィザードと比較した画像を載せています。
差が差の違いは見た目では区別しにくいくらいです。ただN54FSの方が毛の範囲は狭めです。
ウィザードのボリュームは、手口を狭くしてグラブを閉じすぎないようにするための工夫であると聞いたことがあります。触った感じでもウィザードの方が肉厚な印象です。
ウィザードよりもFSスタイルの方が、グラブを閉じやすい設計になっているのではないかと感じます。

その他、フィンガーシフトスタイル、ミドルガセット構造、サムスリーブ構造についてもう少し深掘りしてみましょう。
N54FSの特徴を深掘り
✅フィンガーシフトスタイル
✅ミドルガセット構造
✅サムスリーブ構造
フィンガーシフトスタイル
フィンガーシフトスタイルの特徴は、
元から「小指二本入れに対応していますよ」という前提で設計されているということです。
細かな設計の違いは正直分かりませんが、手をはめてみて分かるのは小指と薬指を独立させた入れ方ができるという部分です。また、外からの見た目でいうとFSスタイルの小指掛けはハミダシより下に位置していることが分かります。
小指掛けを引っ張って二本の指を独立させる入れ方ができるグラブというのは、別のメーカーも含めて初めてというわけではないと思います。すでに持っているグラブの中でもそういう構造のものはありますし。
ですが、それらのグラブと違うのは小指と薬指を同時に入れた時のキツさをあまり感じない点です。
それが小指掛けの位置と関係しているのだろうと思います。

N62と小指掛けの位置を比較してみました。N62は小指掛けがハミダシの上から出ています。
対してN54FSは小指掛けがハミダシの下から出ています。
この違いによって、N54FSは小指部分が引き締まるような構造になり、薬指側にゆとりが生まれるのだと考えられます。
※持っている中でいうと、
ウィザードも小指掛けはハミダシよりも下の位置から出ていたので、小指の本入れを想定した造りなのかもしれません。
またFSシリーズに関しても、
小指掛けをほどくことで従来のグラブのように二本の指が独立しないような使い方をすることも可能なのではないかとは思うのですが、設計通りである今の状態が快適でズレが生じてしまうと困るので、ほどいてみて確認するということはやめておきました。
ミドルガセット構造
FSシリーズは中指と薬指の間に指股が設計されており、それがミドルガセットと呼ばれています。
ウィザードシリーズの型番にMG(ミドルガセットの意味)が表記されているように、ウィザードから登場した構造だと認識しています。
この指股があることによって指と指の間にゆとりが生まれ、可動域が広くなっており、指を曲げる動作がしやすくなっています。

指股のないモデルと比較したり、指先のレースを締めたり緩めたりして、「指の間のゆとり」の有無だけで、いかに可動しやすさの違いがあるのかを感じることができると思います。
※あまりにゆとりを出しすぎると、開閉の動作はしやすいものの、先端が緩すぎて閉じにくくなるため、先端ギリギリの球は捕球し損ねるというリスクもあります。
ウィザードもミドルガセット構造ですが、特にFSシリーズの場合は中指より外側、つまり薬指と小指を動かしやすくして捕球時に閉じやすい構造になっているということだと思います。
(N62は人差し指と中指の間にガセットがありますね)
※ウィザードの場合は、動かしやすさはあるけど、閉じきらない設計になっている感じです。
サムスリーブ構造
サムスリーブ構造のおかげで、フィット感は抜群です。
下記で紹介するバッティンググローブの記事でも触れていますが、
サントニーは指が短いので、親指を入れる部分のユルユル加減に困ることが多々ありました。
※五本入れから小指二本入れにするだけでも小指側のフィット感を高めることはできるのですが、親指側は工夫のしようがありません。
(外側の革に穴をあけて親指掛けを通す位置をズラすことで工夫できなくもないのですが、必ずしも使いやすいとは限らない上、一度穴をあけてしまうと取り返しのつかないことになりかねないので、基本的にはやらない方がいいと思います)
親指掛けの比較画像が撮れたので掲載しておきます。
小指掛けほど奥まっていなかったので、撮影ができました。

左がサムスリーブありのN54FSです。
上の方の白い部分が親指掛けなのだと思います。その内側の黒いのがサムスリーブだと思います。
伸縮性はないのですが、指にまとわりつくような構造でフィット感があります。
右の写真はN62です。
全てがそうであるかは分かりませんが、サムスリーブ無し、二本タイプの親指掛けです。
(購入当時、一回り小さいN6Xは親指掛け三本タイプのものが置かれていました)
左と比べて、親指を入れる部分が広く、私の手では少し緩いです。
しかも、これは外側の革に穴をあけて、キツくなるように工夫した後の写真なので、元々の親指掛けはもっと緩い構造だったことになります。
フィット感が無いグラブを使っていたことで、変に力んでしまってグラブ捌きが固くなってしまい捕球できるはずの球を処理できなかったり、強めの送球を付け根付近で受け、グラブが弾かれて手から外れてしまったり、といった経験があります。
(説明が難しいのですが、送球がシンカー系に変化する時にやらかします)
親指掛け3本のグラブは結構いいフィット感を出してくれていたのですが、それ以上にこのサムスリーブ構造はフィット感にあふれていると感じます。
このサムスリーブ構造があったという点も、購入を決断した大きなポイントでした。
FSシリーズが初めてというわけではなく、別のメーカーも含めて既に存在する構造だと思います。
理想と感想
✅奥の深いところ、人差し指寄りの位置で捕りたい
→人差し指に衝撃を感じることで捕った感覚が得られるため
→ウェブ寄りだと衝撃を感じにくく、捕球を失敗した感覚で気持ち悪い
(これは初めて買ったグラブの影響が強いのかもしれない)
✅そのために縦に近い形で使いたい
→ローリングスのクロスウェブ系は縦気味のが多い印象なので多分OK
→後ろから見ると少し斜めだけど、捕球した感じ違和感ない
(型付けの仕方も影響するかとは思う)
✅小指二本入れ対応かつ土手が狭すぎない型
→あご紐の通り方を見ると、狭くはない構造なのでOK
(とても広いというわけではないので注意)
✅閉じやすい
→ミドルガセットで中指より外側が折れやすくメリハリがある
→小指二本入れ対応なのでより閉じやすい
✅親指も使いたい
→親指固定より、少し動かしたい
→縦気味のグラブは親指を使いやすいのではないかと思う
✅親指のフィット感がほしい
→サムスリーブ構造でフィットし、安心感がある
✅中指&薬指の付け根付近で弾きたくない
→ミドルガセットによって折りやすく、メリハリのある形でポケットが作れそう
✅できればローリングスだと嬉しい
→ローリングスは草野球を始めた当初から長く使っている
→手に馴染んでいた印象が強い
→形が崩れてしまったので今は使いづらいがあの頃の感覚を探し求めている
✅HOHだとなお嬉しい
→田中賢介さんが使っていたというHOHの刻印を見るとテンションが上がる
※理想と感想は↑
たまにリンクがスクロールしすぎます(汗)
結局のところは、
昔使っていたグラブが使いやすく、それに近い形で使えるものを探し求めているということになります。
当時は小指二本で使っていなかったので、その点は最近になって追加された項目です。
もっと使っていかないと分かりませんが、N54FSは個人的に求めていたことのほとんどが実現しているグラブだと思える型なのではないかと思います。

基本的には赤丸部分、人差し指寄りの深い位置で捕球したい。
緑の線あたりで折りやすくして、閉じやすくさせて、入った打球が飛び出さないようにロックするといったイメージです。
(土手の中綿が薄いため、手前の方でも弾きにくいのではないかとも思います)

薬指部分にもメリハリがあって弾きにくいのではないかと思います。(特に逆シングルの時にやってしまいがちな印象)
「ちゃんとポケットができている」という表現で合ってるのかな、ガセットの配置からの想像も含みますがFSスタイルはここの折れ具合にメリハリができやすいと思うので、ボールが引っ掛かりやすく弾きにくいと思います。
(型付け時にその点を伝えていたので型付けの影響もあるかと思います)

上の写真は送球を受けるときのような角度に加工してみました。
赤文字の辺り、ミドルガセットの部分に強い屈曲があり、折れていることを感じます。
手を入れると更にはっきりと、その折れ具合を感じ取ることができます。
※この角度から見てみると、あまり屈曲を求めない方が相対的にグラブの開きは良いのかなとも感じます。
ただ、これだけ屈曲していても、特に開きが悪い仕上がりというわけでもありません。
今回購入したグラブ、本体カラーは「チョコ」、レースは「ゴールドタン」というカラーだそうです。
チョコは深く濃いめの茶色という感じですね。ゴールドタンは黄色というよりもオレンジがかっている色味で、チェダーチーズのような色合いだなと感じます。
メジャーリーグのサンディエゴ・パドレスを意識したようにも感じる「チョコ/ゴールドタン」というこのカラーリング、イエローのラベルも発色が良く、気に入ってるポイントのひとつでもあります。

購入したお店
✅バンダイスポーツオンラインストア
⇒ベイスに出店されているバンスポオンラインストア
バンスポさんはYouTubeのバンスポチャンネル【型付け】で型付けなどの動画を配信しているショップです。
実店舗であるバンダイスポーツ七日町店は福島県にあるそうです。
動画を観た感じではプロ野球選手からの依頼もあるようで、知名度や技術力は確かなのだと思います。
中でも小林さんという方の型付けがすごいらしい、というところまでは認識していました。
私自身、何年か前から動画を拝見しており、観るたびに「この型付けの感じは多分良いんじゃないかなぁ~」と漠然とした印象を抱いており、いつかは小林さんに型付けをお願いしてみたいと考えていました。
ただ居住地とショップの位置関係を考えると実際に赴くのも簡単ではないので結構悩んだのですが、今回思い切って、実物を触りもせずオンラインでの購入に至りました。
過去、実際にショップで購入したところで、
大まかに型付けをして「あとはご自身で使っていきながら型を作っていってください」というタイプのお店が多かったことが理由の一つです。
自身のプレー頻度(活動回数や、ピッチャーとしてのプレーが多い)から考えて、自身で型を作っていくよりも、ガッツリとプロが手を加えて、より即戦力に近い状態のものを使ってみたかったためです。
前から使っていたんじゃないかと思えるくらい
✅無理のない開閉
✅収めたいところにキッチリとボールが入る
という納得感の強いグラブが完成しました。
ボールの出方が安定しているので、持ち替えも手間取らない気がします。
購入から型付けまでの大まかな流れとしては、
LINEで「こうやって使いたいのですが、N54FSってその使い方に合いますか?」といった質問
↓
いい感じの返答をいただいたので、オンラインショップで購入
↓
型付け依頼は電話でということだったので、要望をメモにまとめておいて電話で伝える
(この日、小林さんが不在ということで、相手をしてくれたのは別の方でした)
↓
電話時に伝え忘れたことの補足と、今までのグラブの写真をLINEで送ってイメージの補足
といった流れでした。
今回、バンスポさんの名前を出させていただいてもいいかお聞きし、許可をいただいております。
※もちろん購入のやり取りは本名でさせていただいてるのですが、サイトでは名前出していないので認識はされていないだろうと思います。
野球に関して分かっていないことも多い素人が、プロに「いろいろ書かせていただきました!」と報告するのも失礼な気がするので、そういった報告は控えておこうかと思っています。
話のまとめ
ローリングス N54FS型は
✅強い打球を深いところでガッチリ捕球できる
✅ミドルガセットの可動域で閉じやすい
✅小指二本入れに対応したフィンガーシフトスタイルは従来グラブより違和感が少ない
✅サムスリーブ構造でフィット感抜群
✅長すぎず短すぎず、広すぎず狭すぎずの絶妙サイズ感



















